君は知らない。
どれだけ俺が君を好きかなんて。
恋しくて、恋しくて、どれだけ胸が痛むかなんて。
泣きたいくらい好き。
抱き締めて、
キスをして、
全てを自分のものにしたいくらい…
君が好き。
大魔王と倒してから、俺はパプニカで勉強。お前はマトリフさんの所で修行。
お互いが忙しくて中々逢えないから、
たまには勉強にに付き合ってくれなんて理由で逢う約束をしたのは昨日。
今日逢える。
それだけの事で、俺は嬉しくて仕方なかったんだ。
「やっぱ、俺の方が早かったな…」
今日の勉強もが終わり、待ち合わせ場所まで全速力で走った俺は、
まだポップが来てない事を確認すると二三度大きく息を吸い込んだ。
「相手はマトリフさんだし、大変なんだろうな。」
仕方ないと、俺はいつもポップがするみたいに寝転んで空を見上げる。
日も傾いて少し肌寒いけど、だんだんと赤くなってく空を見てるのはなんだか気分が良い。
ポップもこんな気持ちで見上げてるんだろうか?
そんな風に思うと自然に笑みが浮かぶ自分に、俺は心底呆れる。
「…参ったよなぁ…」
本当に参った…。
どんなに待つのが嫌いでも、
どんなに暇が嫌いでも、
君がこんな気持ちなのかと考えるだけで、
俺はそれが嫌じゃなくなってしまうんだ。
「…俺って重傷…」
ゴロンと横を向き、誰か見てるわけでもないのにニヤけた顔を隠す。
伝えてしまいたい。
どれだけ君を好きか。
言えたら楽なのに。
たとえ答えが『否』でも、
そんな事ではめげないと、
いつか自分を好きにしてみせると、
そんな風に言えたなら。
「…好きだなんて言えない。絶対無理だよ。」
だってポップは綺麗だから。
幸せになって欲しいから。
幸せになるには俺といない方がいいから。
そう、俺なんかと…
「…ポップ…」
「おう。」
ふっと、視界が暗くなったと同時に声が落ちてくる。
その声に顔を向ければ、自分を見下ろすポップの顔があった。
「お、遅いよ、ポップ。」
内心の動揺を隠して、膨れた様にそう言ってみれば、
呆れた様なポップの声が返ってくる。
「しかたねぇだろ。師匠が無理言うんだからさ。
ったくよぉ、少し休んでただけで殴るんだもんなぁ〜」
「それってポップが悪いんじゃ…」
ぽそりとそう言って苦笑する俺に、ポップは
眉を顰める。
「何か言ったか?ダイ?」
これでも急いで来たんだぞと文句を言うポップに、
俺は起き上がり草を払いながらへへっと笑ってみせる。
うん。
知ってるよ。
本当に忙しいんだろ?
でも、俺と約束したから急いで修行を終わらせて来てくれたんだろ?
知ってるよ。
だって、さっき見たから。
君の肩が揺れてるの。
息が上がるくらい走って来てくれたんだろ?
いつも通りのフリをするのは君が優しいから。
俺が気兼ねしない様にだろ?
それはきっと俺にだけじゃなくて、誰に対しても何だろうけど。
そんなさり気ない優しさを見る度に、俺は泣きたくなるんだ。
君への思いが溢れすぎて。
「でもでも、遅れたのは事実だよ!ポップに貸し一ね!」
「はぁ?アホか。」
「だって〜、ポップが遅れたんだもん。」
「ほほぅ、勉強教えて貰えなくてもいいと?」
「えぇ〜〜〜〜!ずるいよ!」
ずるいと連呼する俺に、ポップはやれやれと苦笑する。
が、さすがに冷えたのか少し身震いさせ肩を窄めた。
「とにかく、さっさとお前の部屋に行こうぜ。」
寒そうに肩を竦めながら歩きだすポップを少し小走りに追い掛ける。
「でもさ。お腹も空いたよね。」
「んじゃ、先に厨房で何かもらうか。」
「この前食べたあれあるといいねぇ。」
「ミートパイ。お前、料理の名前くらい覚えろよ。」
お互い寒さに肩を竦めながらくだらない事で笑いながら歩いて、
パプニカ城が近づいた時、ポップはピタリと足を止め小さく呟いた。
「…なぁ、ダイ…」
「ん?何?」
「…俺に言いたい事あるんじゃねぇか…?」
「…っ…」
身体が震えた。
ぴたっと足が止まる。
情けないほどの時間を置いて、何とか絞り出そうとした声は
掠れているのが良くわかる。
「な、何言って…」
「…俺に言いたい事あるだろ?」
お願いだから、
そんな真直ぐな目で俺を見ないで。
俺は君が好きだから。
君に幸せになって欲しいから。
君に好きだと伝えたくない。
伝えたくないのに…。
「お…俺は…」
言葉が続かない。
ぎゅっと唇を噛締め、どれだけ俯いていたのか。
静かな溜息が聞こえた。
「…言いたくねぇんだな?」
どこか諦めたような声に、俺はやっと顔を上げる。
そうして、ポップの顔を見れば、
何処か泣きそうな、悲しそうな顔。
何で?
どうしてポップが泣きそうなの?
笑っていて欲しいのに。
「…ポップ?」
おずおずと声を掛ければ、ポップは静かに、
だけど怖いくらい凛とした顔で俺を見ていた。
「俺は、お前が何者でも気にしない。
けど、お前がそうやって距離を置くなら…
俺はお前に何もしてやれない。」
知ってる!!
どくんっと心臓か跳ね上がる。
ポップは知ってる。
俺がどう思ってるのか
ポップは知ってる!
何か言わなきゃと思うのに、
喉がこびり付いて巧く舌が回らない。
このまま傍にいたいなら、
何とか誤魔化さなきゃいけないのに…!
その時、ふわりと暖かい何かが俺を包んだ。
力強いそれはポップの身体で、
俺はポップに抱きしめられていた。
「ポ、ポップ?!」
「俺は…お前が俺を拒絶する方が嫌だ。」
だけど、そう呟きポップは俺から離れる。
途端に感じる寒さはきっと、風の冷たさだけじゃない。
「いくら俺がお前を好きでも、お前が俺に好きだって
言ってくれないなら、俺は何もしてやれない…」
「…お、俺は…」
相変わらず泣きそうな顔で、
だけど決して俺から視線を逸らさないポップに、
俺はもう誤魔化しちゃいけないんだと気付く。
「俺はポップが好きだよ…。
だけど、俺もお前も男だし…
俺は竜の騎士だから、またいつ戦いにでるかも分からないし。
…それに、俺は強くないから…
待っててなんてきっと言えない。
付いて来てって絶対言いたくなる。
そんなのポップが不幸になるだけだから…」
意を決した俺の告白に、ポップは呆れた様に
言い返す。
「俺が不幸かどうかはお前が決める事じゃねぇし。」
「で、でも!俺は…」
「俺が聞きたいのは!」
久しぶりに聞いた怒った声に、言いかけた言葉を飲み込んで
顔を見れば、ポップは優しく笑ってた。
「俺が聞きたいのは、お前が俺を好きかどうかで。
お前の弱さだの、俺の不幸とかそんなんじゃねぇぞ?」
大体よ、何で俺が未だにあの師匠の所で修行してると思ってんだ?
普通だったら逃げ出すぞ?
俺はお前の魔法使いだろ?
お前の隣にはいつでも俺がいるんだから。
イヤだって言っても離れねぇし?
そう言って俺の頭を叩くとポップは照れた様にそっぽを向く。
…俺の大好きな人は…
俺が思う以上に優しくて、
暖かい人だったんだね…
そう思うと嬉しくて嬉しくて、
俺は勢い良くポップに抱きついた。
「ポップ!!」
「…っわ!!」
勢い良すぎて倒れこんだけど、気にしない。
こんなに嬉しい事が起きるなんて思わなかった。
倒れこんだまま、俺はポップをもっと強く抱きしめる。
「好きだよ…」
「知ってるっつーの。」
「大好きだよ…」
「それも知ってる。」
「…愛してる…」
「…俺も…」
君は知ってたんだね?
どれだけ俺が君を好きか。
でもね、
君が俺の気持ちを知ってても。
この気持ちは変わらない。
君が好き。
泣きたいくらい好き。
抱き締めて、
キスをして、
全てを自分のものにしたいくらい…
君が好き。
だから、もう離さない。
END
…砂吐いていいですかね?(第一声がそれかよ!)
何か甘いし、別人みたいだし;;
しかも見方によってはポプダイに見えるし…(泣)
分かってます、文才ないからです。えぇ分かってますとも。
でも、
でもね?
…あたしはポップ受なのよぉぉぉぉぉ!!
はぁ、すっきり☆
読んで頂きありがとうございましたw
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