「すごく大好きなんだけど…なかなか伝わらないんだよね。」



ぽそりとダイがそう漏らしたのは、もう昼に差し掛かり
そろそろ午前中の課題も終わるかという頃。
初めは勉強に飽きただけかとも思ったが、
その真剣な様子はそんな風には見えなくて。
アバンはひっそりと笑みを浮かべた。


確かにあの大戦以来、戻って来たダイと
パプニカの姫君とは大した進展はなかったかの様に見える。
それもまたダイがまだ精神面で幼い為だろうと周囲も見守るつもりでいたのだが。
なるほど、本人もゆっくりではあるが成長しているらしい。
弟子の成長を嬉しく思い、アバンが益々笑みを深めると、
ダイはそれに気づいた様でほんの少し頬を膨らませた。


「あ、先生笑ってるし。
どうせ子供だな〜とか思ってるんでしょ?」
「ああ、いえいえ。そんなんじゃないんですよ。」


慌てて手をパタパタと振り、課題で必要な本を閉じると
アバンはダイに向き直る。


「誤解させちゃったお詫びに、少し相談に乗りましょうか?
相談すると何か解決するかもしれませんし?」


にっこり笑ってそう言えば、ぱっとダイの顔が輝く。


「いいの?!」
「えぇ。もちろんです。」


で、相手はどんな人ですか?とほんの少し意地悪な質問をしてやれば、
先程の勢いは何処へ行ったのか。
急に真っ赤になって大人しくなる。

(…レオナ姫も愛されてますねぇ)


「えっ…えっとね。その人は凄く勝気なんだけど
実は凄く涙脆くて。」
「あぁ、そんな感じですねぇ。」
「我侭で照れ屋で、凄く怖がりな癖にいつでも皆のために必死で。」


そこでアバンはおやと首を傾げた。
我侭で照れ屋で。
そこまでは分かるのだが怖がり?
あの姫君が怖がりだとは知らなかったし、
イメージが湧かないのだが。
だがまぁ、ダイしか知らない内面と言うのもあるのだろう。


「怖がりとは知りませんでしたねぇ。」
「えぇ?!見てればすぐ分かるのに…」
「まぁ、ダイ君だから見せるんですよ、きっと。」
「…そうかな?」


もちろんですよと頷いてやれば、ダイは嬉しそうに笑う。


「それでね、凄く可愛いんだ!照れてる顔とか怒った顔も可愛いくて!
でも一番は笑ってる顔かな!」
「相思相愛ですねぇ。」
「違うよ!片思いだよ!
だって俺が好きとか言うと怒って攻撃魔法とか使ってくるんだもん!!」
「…そ、それは…照れてるのでは?」

流石に想像してなかった言葉に、アバンも若干冷汗が背中を伝う。
まぁ、色々難しい年頃なのだ。
きっと場所が嫌だったり、突然の事に驚いて思わずとか、
そんな事だろうと無理やり自分を納得させる。


「…そうなのかなぁ?」
「きっとね、相手の人はムードとか、雰囲気とか
そう言うのを大事にしたいんですよ。
ちゃんと時間と場所を選んでご覧なさい?
きっと上手く行く筈ですよ?」
「本当に?失敗するの怖いなぁ。」
「おやおやぁ?何度失敗しても大事なのは諦めない事。
そうでしょ?」


笑ってウィンクすれば。
やがて意を決したようにダイは立ちあがる。


「うん!そうだよね!1回や2回焦げたくらいで諦めちゃ駄目だよね!」
「その意気ですよ。」
「これからお昼だし誘って告白してみる!」
「えぇ、頑張って下さい。」
「メドローアなんか怖くないぞ!!」
「レオナ姫も待ってますよって………はい?」



今なんて言ったんですか?
そう尋ねるよりも早くダイはすでに部屋を後にしていた。


勝気で涙脆くて、我侭で照れ屋で怖がりで…
言われてみれば確かにそのまま彼のイメージだ。
問題は同性なだけで…

遠くでダイの元気な声を聞きながら
アバンはそっと嘆息した。


(…ごめんなさい。ポップ…)



END





はい。ありがちなネタです。
この後ポップはダイに好き好き攻撃(何)喰らいまくります♪
そしてメドローア…は可哀相なのでイオナズンあたりで
ダイは焦がされます。

とってもありがちでお約束なネタを書いてみたかったんですぅぅぅ;;
(パクリではありません念のため)

何はともあれ楽しんで頂ければこれ幸いw


こんなアポな小説ですがアンケートのお礼とさせて頂きます。

読んで頂きありがとうございました!




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