始めてあった時はただのガキだった。
弱いくせに威勢ばかりよくて根性もない、逃げてばかりだった。
しかし戦闘を繰り返していくうちに、
変わってきた。
本当に生死をかけた戦闘ばかりだったから。
大切な大切な仲間のために、失いたくないから。
必死に食いしばってここまでやってきた。
………足手まといにないたくない
………置いていかれたくない
強く思っていたその思いが、裏目に出た。
ずっと、心の奥に眠らせていた。
………オレはただの一般人だから
………他のヤツとは違うから
仕方がない。
その一言で済ませれば簡単だろう。
でも、それが出来ないのは仲間を裏切りたくないから。
「仕方のねぇやつだな…」
仲間にも経験にも、そして自分の知らない才能にも恵まれたやつだとは思っていたが
魔法使いの頂点に立つとも言われるこの俺が100年近くの時を掛け磨き上げてきたこの魔法力を
それをわずか2年弱で、それと同等いや上回っているかもしれないぐらいの力をつけて
「おめぇのどこが一般人だよ…」
マトリフ自身そんな王族だから、生まれがどうとか、育ちがどうとか、などという区別はしないが
世間の常識から考えても彼を一般人だと思うものはいないだろう。
それがたとえ、努力からのものでもの。
それはその身につけた力は事実だから。
たった一人の弟子の思い悩む姿は手を貸してやりたいとも思うが、
それは彼自身の問題だから。
彼でしか解決はできない。
きっと解決するだろう。
確信があるわけでもないが、きっと。
そして大魔王バーンも仲間たちと倒すだろう。
そのころには今までのように自分の手元にはいないだろう。
弟子の成長と巣立ちは、
自ら育てたこともあり本当にうれしいものである。
しかしそれと同じくらいに、悲しいものでもある。
「……この俺がこんな風に思うとはな…」
昔の自分を知るものがいたら卒倒するかもしれないな…
そんなことを思い苦笑する。
「でも、悪い気分じゃねぇな…」
時代的にはアバンのしるしが光らずマトリフの元へやってきた後です。
こんなものですが、もらってやってください…