『・・・・・・・・・・・・ん・・・・だ・・・・』

-----------誰だ・・・・・?-------------

『ア・・・・・に・・・・も・・・・でいいから・・・・・・・』

--------何を言っているんだ?--------------

『ハドラー・・・・・・・アンタに・・・・・』

-----------俺を呼ぶのは誰だ?-------------




Prediction being impossible or an understanding is impossible




彼はひどく困惑していた。
一体この状況をどうしたら良いのだろうかと。

あのバーンパレスでの死闘から、10年の年月が経っている事は理解した。

本来なら消滅しているだろう筈の自分が、
彼のお陰で蘇った事も、だ。


完全に消滅した肉体を復活させる事など、本来なら出来る筈はない。
が、崩壊を免れたサボエラの研究室には己の細胞が残っていたらしい。

大方研究に使うつもりだったのだろう。
己の細胞を好きに扱われる所だったのは些か苛立つが、
既にザボエラも死んだ以上、それも最早どうでもいい。

結果的にはその細胞のお陰で新たな肉体を得たのだから。


そこまでは理解出来る。

否、理解は出来た。


理解出来ないのは、この状況。


ハドラーは酷く困惑したまま小さく唸る。

何故自分はポップに抱き付かれているのだろうか・・・・?





「・・・・・・お前がサボエラの研究室に残っていた細胞を使い
俺を復活させてくれた事はわかった。」


また逢えて良かったと、敵であった自分にそう言ってくれる事も
不思議な気分ではあるが喜ばしい事だと思う。
思うのだが。

やはり今の状況が理解出来ない。そうハドラーが困惑したまま呟けば、
以前抱きついたままのポップは漸く面を上げて首を捻る。


「なんでよ?」

「普通に考えても可笑しいとは思わんか?」


この際敵同士だったとか、己は人間を多く殺した魔族だとか。
その辺を問うのは、変に寛容な所のあるポップに言うだけ無駄だとハドラーも理解はしていたのだが、
それでも同性である己に抱きつくのだけは、わからないと呻く。


「俺は男だぞ?」

「アンタが女だって言うなら俺は今すぐ医者に行かなきゃな。」

「・・・・・・お前も勿論男だろう?」

「アンタが女が良いって言うなら女になるけど?」


元々そう長くもない堪忍袋を総動員して、ハドラーは何度目かわからない溜息を深々と吐いた。
のらりくらりと問答を繰り返すのは御免だったし、
これ以上それを続ければ破壊衝動に駆られる事は必須だ。

何時までも己にしがみ付くポップを強引に引き剥がし、
もう一度深く溜息を吐いてから。
酷く恨めしそうな表情で自分を見るポップに向かいハドラーは言葉を紡いだ。


「お前は一体何がしたい?
元々敵だった俺を長い時間掛けて復活させる理由もわからなければ、
同性の俺に抱き付く理由もわからん。
大体、俺を復活させてお前に何の利点がある?
俺は人間どもと馴れ合う気もなければ、助けるつもりもない。
何かの見返りを求めて復活させたのならば見込み違いも良い所だ。
お前は、俺を復活させてどうしたいんだ?」


ゼィゼィと肩で荒い息を吐きながら、捲し立てる様に威嚇する様に紡がれた問いに、
漸く動きを止めたポップは暫し沈黙し腕を組む。
ブツブツと何かを一人で呟くその姿に、やっと納得のいく結論が出るとハドラーが安堵の息を漏らした時。
ポップはクスクスと肩を揺らし笑い出す。
酷く愉快そうに。
そうして一頻り笑い終えた後、一人納得した様に笑みズイとハドラーに詰め寄る。


「うん、ごめん。アンタに逢えたのが嬉しくてアンタにちゃんと説明すんの忘れてたわ。」


此処の所、誰かと話する事もなかったから、説明とか忘れてたよ。
少しだけ眉を下げ情けないと笑うその姿に、チクリとハドラーの胸に何かが刺さる。
小さな小さなその痛みに、ハドラー自身が気付く間もなく、
ポップはヘラリと変わらぬ笑みに戻る。


「アンタが敵だったとかってのは俺には関係ない。過去の事だし。
で、アンタが人間と馴れ合う気がないのもわかってるし、助けて欲しいとも思っちゃいねぇ。
見返りなんぞあると思ってないし、ついでに言えば利点もないな。」


世界には大きな争いもなく、竜の騎士であるダイもその仲間もいる。
概ね平和なこの世界で望む事など何もない。
そう事も無げに言い切れるポップにハドラーは益々訝しげな表情を浮べる。
ならば何故?とそう問うよりも早くポップは笑みを深める。


「これでもわかんねぇ?」

「全くわからんな。」

「見返りなんぞなくても、アンタが人間と馴れ合わなくても、利点がなくても。
俺はアンタに逢いたかったんだ。
だから勝手だってわかっててもアンタを復活させたんだよ。」


ふわりと微笑んで、ハドラーが口を開くより早くポップはもう一度飛び付く様に抱き付く。
そうして困惑顔のハドラーの両頬に触れ掠める様に口付けた。


「なっ・・・・・ななななにをっ?!」

「鈍いね、マジで。元魔王サマ。
アンタが好きだよ?
アンタにもう一度逢いたくて、逢いたくて。
その想いだけで俺は生きてきたんだ・・・・・
だからさ・・・・」


好きじゃなくてもいいから、
本当に嫌なら離れるから、
同情でもいいから。

嫌いじゃないなら一緒にいてくれよ?

少しだけでいいから。


切なげに静かにそう紡がれた言葉に再びチクリと胸に痛みが走る。
そうして頭で理解するよりも早く、ハドラーは頷いていた。
何故だか、頷かなければならない気がして。

その瞬間、ぱっとポップの表情が輝く。


「本当に?マジで?」

「・・・・お前が俺を蘇らせたんだ。
そのくらいの願いは叶えてやる。」

「・・・・本当にいいのか?」

「くどい・・・・ぞ・・・・っ?!」


しつこい位確認を取る様子に呆れ混じりに声を荒げようとするも、
それは首に纏わりつく様に抱きついたポップの腕に遮られる。
嬉しいだの、幸せだのとその体勢のまま喚く姿に眉根を寄せて、
ハドラーはポップを引き剥がした。


「・・・・ただし、側に居てやるだけだ。
それ以上の期待はするな。」


やはり同性相手に抱き付くのは理解できんと眉を顰めたまま呟くハドラーに
ポップは事も無げに笑い手をヒラヒラと上下させて見せる。


「あ、その辺はご心配なく〜?
そのうちその気にさせるから。」

「なるかっ!」

「わっかんないぜ〜?
俺の魅力にメロメロになるかもしれないしぃ〜」


再び襲う頭痛に米神押さえ、文句の一つも怒鳴るかと睨めば
既にそこにポップの姿はなく。
唖然とする間もなく、その明るい声がハドラーを呼ぶ。

早くと呼ぶその声にハドラーは目を細めた。

懐かしいと感じる声。

虚無と闇に飲まれ混沌とした意識の中。
聞いていた声は、


『ハドラー・・・もう一度だけでいいからアンタに逢いたいんだ・・・・』


そうずっと語りかけた声は、
彼の声だったのかもしれないと。

そう思いながらハドラーは10年ぶりに地上へと姿を現したーーーーーーー。


END


ハドポプ楽しいデスっっっ!!!!(力説/おだまり;)

もうダメです、妄想が止まらんのですよっ!
何処までもマイナーに走る覚悟は出来ました(今更?)

いたってノーマルなハドラー様は、襲い誘い受なポップ君の攻撃に何時まで耐えれるんでしょうかね?

何か簡単に陥落しそうな、とことん足掻きそうな・・・・
どっちに転ぶか姫宮にもわかりませんw

と言いますかどっちに転んでも書き手は楽しいんでどっちでもいいです!

えぇもう暫くこのシリーズを頑張っちゃうかと思うくらい楽しい・・・・w(マテマテ)

とまぁそれは冗談ですが;
ちょこちょこハドポプは書きます。うん、これは決定デス(笑)
でもそれはヤダってお言葉が多かったら止めるかも・・・・・(THE★チキン)

読みたくねぇや!って方は遠慮なく拍手に読みたくない!と書いてやってくださいませ。
あ、でもそれ以上の批評は凹むんで勘弁していただければ幸いデス。



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