師匠と弟子。
簡単に言えばそんな関係。






なぁ、とベットに寝転がったままポップが声を掛ければ、
マトリフはベット脇の椅子に座り、手にしていた本から視線を逸らさぬまま返事を返した。

彼が寝る前に本を読むのは最早慣習の様なものであったから、
ポップもまた別にそれに気分を害した様子もなく言葉を続ける。

「師匠ってさ。昼と夜で別人みたいだよなぁ。」

ぼそりとそう呟けば、ほんの少しの沈黙の後本が閉じられる音が耳に届く。

「・・・・何だそりゃ。」

変な事を言う奴だと言う言葉と共に苦笑する気配を感じて、
ポップはちらりと視線をそこに向けた。

「ん〜、だってさ。修行の時の師匠とそれ以外の時の師匠って全然違うからさ。」
「だから別人みたいだって?」

益々笑いを深めるマトリフにポップはそうだと頷く。
最初からこんな事を言えば笑われる事は想像が付いていたから、
別段それを不快にも思わない。
ただ。
本当にただ何となく。
別人の様だと感じただけなのだから。


「例えばさ、俺がどれだけ怪我したってそれが修行中なら。
あんたは絶対俺を助けないだろ?」
「まぁ助けないな。」

その前に手を貸したらお前が怒るだろう?と問うマトリフにポップは一つ頷く。

自分達の関係が変わっても、
修行そのものは相変わらずなモノで。
きついとか厳しいとか。
そんな生易しい言葉で
どれだけ言葉で語ろうとも語り尽くせるものではない。

そんな時の彼は正しく師匠で。
弱音など吐こうものなら飛んで来るのは怒声と叱咤。

それは当然だと思う。
もしそこで手を貸されれば自分は烈火の如く怒るだろう。
馬鹿にしているのかと。
そこまで弱くはないと。
それは矜持だけではなく、
自分が彼の弟子であると言う誇りもあっての事なのだけれど。
彼自身<それを分かっていてくれているからこそ、
決して手出しをしないのだと理解もしている。


けれど、修行が終われば。
それと同時に何かが変わる気がするのだ。
師を纏う気配と言うべきか。
雰囲気と言うべきか。
何も変わらないけれど何かが変わったような気がして。
少しだけ、自分は戸惑うのだ。


ぽつぽつとそうポップが呟けば、聞こえるのは近づく足音。
それに反応し顔を上げれば、マトリフはベットに腰掛けるのが見えた。
どうしたのかと聞けば、それには答えず落とされた口付けにポップは小さく笑う。

「何だよ、急にさ。」
「・・・・何となくな。」

首筋に触れる唇の感触に少しだけ身を震わせるけど、それでも笑みは止まらない。

「ほら。やっぱり別人だ。」
「そう言うのは別人って言わねぇだろ?」
「じゃあ、なんて言うんだよ?」

込み上げる笑いをそのままにそう聞けば、
マトリフもまた柔らかい笑みを浮かべたまま答える。

「なんだろうな?」
「・・・・ん〜・・・・・恋人、かな?」
「さぁな。」
「ちぇ。ずるいよな。」

短くそう言い抱き寄せるマトリフに、少しだけ頬を膨らませ。
それでも腕を彼の首に回せば、満たされる様な幸福感があるのだから。
それもありなのかとポップは静かに眼を閉じる。

師匠と弟子。
簡単に言えばそんな関係。
でもそれだけじゃない。


He is a sweetheart night

夜は恋人。


そんな関係--------------------------------






END



7777hitはももちび様より頂きました
『修行中とプライベートでの差がきっぱりしている師匠』
でございます!


えぇとですね。
今回も言い訳して良いですか・・・・・・・・・・・・?(マテ)

あのですね!甘いの好きなのにうちの師弟はあんまり甘いのがないと気付いたんですよ!!
なので今回は糖分MAXで書こう!と意気込んだのです。


そもそもそれが大失敗!!



誰ですか?!あの人達!!
甘いとかじゃなくて・・・・・えぇっと何て言うんでしょう・・・・・。


別人ですから!!!!!!!!!!


ももちび様!ごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃぃ;;;
お待たせした上にこんなもの押し付けてしまって(T-T)
またしても恩を仇で返しております・・・・(土下座)

毎度の事ですがお持ち帰りも返品も可でございますので!!


本当に素敵なリクをありがとうございました!!



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