敵じゃないけど味方でもない。
そんな今が気に入ってるって言ったら。
君はドウスル?
死神のヒミツ
バサバサと頭の上から降る巻物の山に、
ボクはウンザリしながら、頭上の君を見た。
真剣な眼差しで何かを探すのはイイケドさ。
それ、絶対ワザとでしょ?
時々ボクを見る眼が悪戯に光ってるの知ってるヨ?
「・・・・まだかかるのカナ?」
いい加減飽きたんだけどと呟けば、
君は殊更楽しそうに巻物をボクに向かって落とす。
大体さ、ソレ売り物じゃないの?
店のオジサン凄く嫌な顔してるヨ?
若干呆れながらそう言えば。
君はにんまりと笑う。
「それ全部買うから。」
「・・・・一応聞くケドお金は?」
「お前持ち。」
・・・・そうじゃないかと思ってたけどネ。
全く分かってるのカナ?
君とボクはオトモダチじゃない。
もちろん味方でも。
利害が一致したからこその関係。
普通はさ、もうちょっと警戒するもんでしょ?
いくら契約してるからってサ、
こっちは魔族なんだし。
もうちょっと色々警戒してくれないとツマラナイじゃないか。
前にそう言ったら、
返ってキタのは簡潔な言葉。
『そんなお前が喜ぶ真似なんかしねぇ。』
参っちゃうヨネ。
何だってそう一々期待を裏切ってくれるかな。
コレだから君は面白い。
もう宿屋に戻ろうヨ。と何度目かの抗議をすれば、
君は面倒臭そうに振り返る。
「調べもんは時間が掛かるんだよ。
大体、お前が先に調べときゃ話は早かったんだろ?」
「天界の事に付いてはボク達魔族が知る事は不可能なんだから
仕方ナイじゃないか。」
「だから調べてんだろ?文句言うな。」
そう言ってまた視線を戻す君の眼は凄く真剣。
急いでるんダロ?
早く取り戻したいから。
本当は。
焦ってるんだって知ってる。
契約を交わし声を取り戻してから。
それなりの日数が経ってるケド。
君は殆ど休まないで調べ続けてる。
たった一人の親友を。
早く取り戻したくて。
あの戦いから5年。
君の親友が神様に封じられてから5年。
魔族には短い時間でも、
人にとっては長い時間。
君のオトモダチのお姫様。
あぁ、今は女王様だっけ。
彼女も未だに待っているんだよね。
恋人であった勇者の帰還を。
君の親友の帰還を。
王族で独身を貫くのは凄く大変なんだってね。
今はまだ若いからの理由で拒めるけど、
もう直ぐそれも通用しなくなる。
だから余計に君は急いでるんダロ?
親友が悲しまない様に。
友人が諦めない様に。
本当に馬鹿だよねぇ。
此処まで来ると呆れちゃうよ。
どうして人の為にそこまで出来るカナ?
それに大事な事を忘れてるし。
それで君が倒れたら意味ないデショ?
ちらりと苦い顔の店主に声を掛け、
散らばる巻物全てを街の宿屋に運ぶ様頼んでから。
手を伸ばし、君を後ろから抱え上げた。
当然聞こえる抗議の声。
「なにすんだよ!!!」
「だって、折角人の姿までしてんのにサ。
全然構ってくれないんだもん。
飽きちゃったヨ。」
「た の ん で ね ぇ !」
「一言一句に気合が篭ってるネ。
でもダメだよ。今日はもう帰る。」
君が倒れたらボクだって困るんだ。
ちょっとだけ真剣な言葉に君の動きがぴたりと止まる。
「・・・急いでるんだ。」
「知ってるヨ。」
「早くしないと・・・・」
「デモネ。それで君が倒れたら困るのはボク達なんだ。
君は精一杯やったんだなんて奇麗事言えるかも知れないケド、
ボク達はそれじゃあ困る。
世界で天界の門を開けるだけの魔力を持っているのは君だけなんだ。
君はヴェルザー様の配下の唯一の希望なんだヨ。」
無茶は許さない。
静かにそう言えば君の体からゆっくり力が抜ける。
そして次に聞こえるのは諦めた様な溜息。
「分かったよ。」
だから降ろせと呟く君にボクは苦笑して首を横に振る。
言いたい事を察知してか、君は抵抗を試みる。
うん。物凄くイヤな顔してるネ。
その表情に満足してボクはさっさと歩き出す。
もちろん君を抱えたまま。
「おろせ!!!!!」
「お願い離して?って可愛く言ったら考えてアゲル。」
「・・・・・」
「あ、呆れてるネ?」
「・・・・・凄くな。」
君が倒れたら困るのは本当だけど、
言った事は、
実は大義名分。
敵じゃないけど味方でもない。
そんな今が気に入ってるから。
急がないって言ったら。
君はドウスル?
------------------言わないケドネ。
END
11作目のお礼ssは、ほのぼの風味のキルポプで。
前回のssが物凄く好評だったんで調子に乗ってみました!!!!(爆)
しかも地味に続いてたりw
二人の掛け合いは書いてて物凄く楽しかったですww
特にキル様がww
これ、地味に続きそうなんですけど続けてもいいですかね?
好評だったら暫くssはこのシリーズで行こうかなw
何て調子にのって考えてます☆
相変わらず書き手だけが喜んでるssで申し訳ないです;(土下座)
拍手ありがとうございました!
本日の自分突っ込み。
「お前はどんなマイナーカプサイトにしたいんだ!?」
まったくな!(泣)
戻る