君は予測不可能で、
それが面白かった筈なのに。
死神のゴサン
足音だけが大きく反響する洞窟の中は、
普通なら有得ない程清浄な空気が流れていて。
ボクは小さく笑った。
だって、ねぇ。
天界の門を開く鍵が、
破邪の洞窟の、しかも最下層に封印されてるなんてサ。
あんまりにお約束で、
意地が悪くて、
用意周到なもんだから。
笑うしかないデショ?
沢山の魔族を隷属させてまで、
門の鍵を守るなんてサ。
どっちがワルモノか分からないじゃないか。
破邪の洞窟に出る魔物は、普通の魔物じゃない。
だって、破邪の結界が張ってあるこの場所に、
普通の魔物が居れる訳ないデショ?
魔界に属するものを捕えて。
摂理を捻じ曲げてまで拒絶してるのは、
人間?
それとも魔族?
そこまでして神の座に縋りたいか。
何かネ、こう破壊衝動が湧くヨ。
ドロリと、湧き上がる感情は黒くて。
あぁ、やっぱりボクも魔族なんだなと痛感。
愚かなまでに神のナマエに縋りつくアノ人が憎らしくて。
「・・・・・おい。」
前を行っていた筈の君から声が掛かり、
ボクはちょっと間を置いて君を見る。
「ドウシタノ?」
満面の笑みを浮かべて答えたら、
物凄くイヤそうな君の顔。
「その顔、嫌いなんだよ。」
「うわ。ヒドイ事言うねぇ、君。」
君が仮面はイヤだって言うから折角素顔なのに、
それはヒドイんじゃない?
そう言ったら、君は益々眉を顰める。
「作った笑い顔なんか見ててムカつくだけだ。」
バレてたか。
まぁ、君は変に聡いから分かるかなぁとは思ったんだけどサ。
どうして分かったの?
一応そう聞けば、
君は憤慨した様に頬を膨らませる。
「全然眼が笑ってないから。
どんだけお前と一緒に居ると思ってんだよ。
そんな簡単な事くらい分からないほど馬鹿じゃねぇぞ?」
分かって当然だと胸を張る君の姿が面白い。
「破邪の結界の中だし、どっかキツイのかと思ったのによ。」
「アレ?心配してくれた?」
少しおどけてそう言えば、
君は顔を真っ赤にして怒り出す。
返ってくる言葉が何となく想像出来るヨ。
誰が心配するか!とか言うんデショ?
だけど、
返って来た言葉は。
全然予想した言葉じゃなくて。
本気でボクを驚かせた。
「うっせぇ!心配して悪いか!!!」
・・・咄嗟に反応出来なくても。
それはボクの所為じゃないヨネ?
くどい様だけど。
ボクは元敵で。
今だって味方じゃないヨ?
心配する必要は何処にもないじゃないか。
情が厚いと言うか、
懐が深いと言うか。
本当に君には驚かされる。
でも、
それがイヤじゃない。
あぁ、もう本当に誤算ダヨ。
ついさっきまで湧き上っていた感情は。
とっくに何処かへ消え失せて。
変わりに湧くこの感情は。
魔族のボクには似つかわしくない、
有得る筈ないモノ。
自然と浮かぶ笑みをそのままに。
ボクは君に抱き付いた。
当然驚いて、動揺する君。
「お、おい?!やっぱキツイのか?!」
そう聞きながら、慌てる君の姿に、
ボクは笑いが止まらない。
ミナカトールだって効かないのに、
こんな結界くらいで倒れる訳ないデショ。
掠める様に口付けて、そう囁けば。
・・・・・思い切り殴られた。
「・・・・魔力を込めて殴るのは反則ジャナイ?
痛いんだケド・・・・」
「知るか!!!」
「今更キスくらいで驚かないでヨ。」
「っ!うっせぇ!!!!!」
吐き捨てる様にそう叫んで君はさっさと歩き出す。
その背中は、見事なまでに怒りを表していて。
ボクはこっそり笑う。
このボクを驚かせたんだから、
仕返しくらいしたっていいデショ。
君の後を歩きながらボクは笑う。
君は予測不可能で、
それが面白かった筈なのに。
それ以外の感情が湧くなんて思わなかったヨ。
愛しいなんて。
ボクには凄く似合わないのにネ。
それはボクの大誤算------------------------
END
・・・・どんどんssが長くなっている気がするのは私の気の所為でしょうか?
楽しいんですよ?書いてる奴だけ!(ダメじゃん:)
だけどね。
調子に乗って書いてる上に自分だけが楽しいってどうよ?とか
キル様どんどんキャラ崩れてね?とか
今回もまた自分的に突っ込み満載ぃぃぃぃぃぃぃ!!!
いやもう、毎回変なものばっかりですいませんです(土下座)
恩を仇で返しまくりですが楽しんで頂ければ幸い。
拍手ありがとうございました!(礼)
何よりも今回自分的突っ込みナンバー1はこれですかねぇ。
「今更キスくらいで驚かないでヨ。」
「・・・・・・・キス以上の関係だったんですね。」
あっはっは!!知らなかったよ!!(爆)
戻る