その眼には覚悟があった。
あぁ、多分君は気付きかけてるんだネ。
最後の時はもう間近。
死神のカクゴ
月の薄明かりの下、君は何度もそれを見続けた。
天界への門を開く鍵を。
淡い光を発し続ける小さな宝玉。
神の力を宿したその鍵を手に入れた時、
君は呟いた。
大切にその宝玉を抱き締めて。
やっと逢えるんだと。
酷く嬉しそうに。
それこそ溢れるくらいの魔物を倒してきたんだから、
凄く嬉しいのは分かるヨ。
ボクだって勿論嬉しいサ。
ヴェルザー様の封印を解くたった一つの希望。
今君の手にある宝玉がその希望なのだから。
それを手にし、天界へと攻入る事こそが長年の願い。
光の中でも闇は必ず在る。
その絶対の真理を捻じ曲げ歪んだ玉座に座る傲慢な『モノ』
唯一になろうとも、それを天の玉座から引き摺り降ろす事こそ
積年の思い。
その為だけに、ボクは在る。
もう少しだネ。
そう呟くボクの声に、君は小さく頷いた。
鍵を手に入れ地上に戻った今。
望むモノまでもう少し。
君との旅ももう少し。
「もう一度だけ聞くヨ。君は本当に後悔しないネ?」
天界の門を開き、魔族を手引した裏切り者。
神に逆らった大罪人。
そう誹られ罵られる覚悟はあるんだネ?
そう聞いた途端、君はボクを睨んだ。
これ以上ないくらいの怒りを湛えて。
そうして静かに呟く。
「覚悟くらいとっくに出来てる。」
その程度の事で臆するくらいならお前となんか契約しない。
そう呟いて、
今更聞くなと睨むその眼に、
ボクは笑いが込み上げて来るのを抑えられない。
強い覚悟を宿した眼はいつかのままで。
堪えきれずにボクは小さく笑った。
あぁ、そうだネ。
馴れ合い過ぎて忘れそうになるけれど。
君とボクは仲間じゃない。
利害が一致しただけの関係。
それを失念していたのはボクの方。
我ながら情けないネ。
そんな風に自嘲すればお前こそと声が掛かる。
その言葉に視線を合わせれば。
揶揄するでもなく、
心配するでもなく、
ただ真剣な眼差しで君は言葉を紡いだ。
「お前こそ覚悟は出来てるのか?」
あぁ、多分。
君は気付きかけてるんだネ。
ボクと言う存在の意味に。
仕方ないか。
君は変に聡いから。
「大丈夫ダヨ。」
少しの沈黙の後そう答えれば、君は黙って頷く。
何に大丈夫かボクは言わない。
何が大丈夫か君は聞かない。
そろそろ行こうと声を掛ければ。
君は立ち上がる。
お互いの成すべき事へ向かう為に。
もしもいつか機会があれば。
君の疑惑に答えても良いけれど。
多分きっとそんな日は来ないネ。
君は君の目的の為。
ボクはボクの目的の為。
お互い協力しているダケ。
お互い覚悟が出来ているなら。
詮索も心配も不要な関係なのだから。
馴れ合いはもうオワリ。
------------------------最後の時はもう間近。
END
またまた調子に乗って死神シリーズですw
今回は妙にシリアスっぽいですねぇ;
しかも複線張りまくり・・・・(滝汗)
ま、まぁラスト近いので;
その辺は仕様と言う事でご容赦願えればと思います〜〜〜;;
次はいよいよダイくんと再会!!!!
だといいなぁ・・・・。(マテ)
書き手は大満足なこのシリーズももう少しで完結予定w
皆様には最後までお付き合い頂ければ幸いに思いますw
拍手ありがとうございました!!(礼)
・・・・ネタがなかったんで本日の自分突っ込みはナシ。
それはそれでちょっと寂しいと思う辺りが既に末期。
駄目っぷり炸裂ですな!!(泣き笑い)
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