今更ながらに思う事。
そう、貴方は間違いなく。

私達の光だった。




女王の憂鬱 act.2



どれくらいの時間外を眺めていたのだろうか。
段々と翳っていく日を視線に捕えていた彼女の元へそれは届けられた。

控えめなノックと共に入ってきた臣下の手にあるのは、
一束の報告書。
それは、ダイが帰還した時よりずっと行われていた
大魔道士捜索の報告書。


あれだけ仲間が探したのに簡単に見つかりはしないだろう。
それでも、彼の足取りが掴めれば手掛かりくらいは見つかるかも知れない。
そう思いレオナはあの日からすっとポップの捜索を続けていたのだ。
各国の協力の元に。


「反省・・・って言ったら変だけど。
皆反省してるのよ?」


国を統べるには、如何なる災いの種も取り除かねばならない。
それが国王の役目ではあるけれど。
威信とか、矜持とか。
そんな事の為に失った代償は決して小さくなかったと。
大魔道士が姿を消した時に皆痛感したのだ。

元々彼はパプニカに帰属してなどいなかった。
ただ居を構える場所がパプニカであっただけ。
彼はどんな時でも公平であったし、
平等でもあった。
要請すればどの国の相談にも応じた大魔道士を、
己の国にと望み、
手に入らなかった時を憂い。
他国を疑い、疑心し。
そして失った事。
それは、それを止められなかった者も含め、
根深く心に残った。

故に。
大魔道士の捜索をと願い出たレオナの協力を拒む国は何処にもなく。
半年と言う長い時間を掛け漸くそれは出来上がったのだ。


「結婚前日に出来上がるなんて、運が良いのかしら?」


出来る事ならば明日までに間に合うだけの手掛かりがあれば良いのだけれど。
そう呟きながら、レオナはそれに眼を通す。

一枚目の報告書には、
パプニカからカールへ、次いでロモスへと向った足取りが記されていた。
それなりに大きな街での報告も見える。

二枚目の報告書では、
リンガイアからオーザムへ。
段々と街で見かけた報告は少なくなり、彼がどれだけ人との拘りを避けてきたが見えた。


「・・・・・・馬鹿ね・・・・・」


知らず知らずの内に呟いて、レオナはそっと溜息を付いた。
一人で居られるほど、アナタは強くなかったくせに。
寂しがりだったくせに。
そう呟いて、レオナは再びそれに眼を落とし。
そうして。
彼女は言葉を失った。









「・・・・嘘でしょう・・・・・・?」

そう言葉が紡がれたのは、長い時間が経ってからの事。
既に日は落ち、夕闇が部屋に影を落としても、
彼女はその場を動けずにいた。
ぽたりと溢れる涙は止め処なく、収まる事も忘れたかのよう。


「・・・・・ごめんなさい・・・・・・」


何も知らないで。


「ごめんなさい・・・・・」


どんな事をしても止めるべきだったのに。


「貴方だけが犠牲になる必要なんかなかったのに!!!」


これほどまでに、自分を恨んだ事などない。
怒りと、そして悲しみと。
湧きあがる衝動に任せたまま机を強く打ち据え、
そして崩れ落ちる様に据わり込んだ。


「・・・・ポップ君・・・・」


貴方がそれをするのにどれだけの苦しみがあったのだろう。


その手に握られるのは三枚目の報告書。
握り潰されたそれに書かれた文字に、
レオナはただ涙を流す。


それは絶望を伴う言う報告。
彼の治療を施した人物からの報告だった。
親友の願った世界の為に。
彼は、
自ら声を潰したのだと。
そう記されていた。



「・・・・・弱くて・・・ごめんなさい・・・・・」


今更ながらに思う。
そう、貴方は間違いなく。

私達の光だった。


「私達の弱さの所為で・・・・」


柔らかに照らす貴方と言う光は
あたかも月の様で。


「貴方が犠牲になるなんて・・・・・」


失うまで守られていた事すら気付かないのだ。



to be continued




最初に謝ります。
えぇもう、心の底からです。

久々の最大フォントでいきましょう。

何かもう色々暗くてごめんなさい!!!!!!(土下座)


さ、最後はちゃんとハッピーエンドですよ(汗)
ただどうしてもポップ君の声が出ない事を話に入れたかったんです;;
そしたら、あらまぁびっくり。
どうしたの?と言うくらい暗いお話に・・・・・・(滝汗)

いや、もう本当にごめんなさい!
つうか「拍手のお礼だろ!暗い話じゃお礼じゃないじゃん!」
とか自分でも突っ込んでます;

ひぃ、次こそは!!
明るめになりたいなとか意気込みますんでご容赦を〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!


拍手ありがとうございました!


まぁ何より謝らないといけないのはレオナにですな。
これだけ彼女を泣かせるサイトも珍しいよ。
ゴメン、レオナ・・・orz


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