「・・・・キミって人間にしとくには勿体無いくらい冷酷だよネ、時々。」

対峙する敵より視線を逸らさぬまま、ほんの少しだけ笑んでキルがそう呟けば。
ポップもまた、揶揄するように口角を持ち上げた。

「クールじゃなきゃ魔法使いの資格なしってな。」

死すら覚悟する戦いの中ではより冷静に。
それをかつての戦いでポップはいやと言うほど知ってきたのだから。
そうして、大きく一つ息を尽き、ポップはさてと小さく呟く。
ほんの少しだけ見えた勝機を揺るぎないものにする為に。

戦局は僅かばかりに優位だけれど。
それでも不死の者を確実に倒す術はなく。
けれど、負ける訳にいかないこの戦いで。
只一人の犠牲も払わずに済む為に。


「冷静に、クールに。」


ぽつりと呟いて、ポップは思考を巡らせる。




死神のオワリ ACT.5




最早冷静さを欠いた人の守護者に余裕など何処にも見当たらず、
虚勢を張る為だけの攻撃をポップは自分の魔力で相殺し、キルと名を呼ぶ。

「お前の体は元々ヴェルザーのなのか?」
「・・・そうだよ。」

淡々と紡がれる言葉にポップは一つ頷く。

考えろとひたすらに警鐘を打つ脳内はそれでも冷静で、
疑問と答えを巡り続ける。


「お前はヴェルザーの魂の一部?」
「そうなるネ。」
「何故・・・体を捨てた?」
「・・・・ここで知らないと言ったら怒るんだろうネ。」

ふぅと溜息を落としキルは己に迫る焔の槍を薙ぎ払う。
仕方ないと肩を竦め、本当はヒミツなんだけどネと言葉を紡いだ。

「不死の肉体と不滅の魂、簡単にそれだけなら理想かもダケド。
実はボク達は規制が多い。
守護する者を傷つける事なんて出来ないし、
まぁ他にもイロイロと規制が付く。
それは体と魂に初めから組み込まれた仕組みだからネ。」


魔界に堕ち、日を浴びず瘴気に当てられ次第に心を狂わす守護するはずの者達を
力なくして止める事など不可能だった。
力はあれど使えぬならば、暴走を止める事も出来る筈なく。
同族で争う事を止めれぬ無力さに呻いた時。
気付いた。
肉体と魂に組み込まれた仕組みをどうにかは出来ないのだろうかと。
それを完全に排除出来なくとも、
僅かに緩める事は出来ないのだろうかと。
そして肉体を魂を別つ事によりそれは成功した。

魂は新たな肉体を得る事で、
肉体はその魂を一部とする事で。


「・・・・新しい体を得た・・・・・?」

キルの答えに小さな疑問を見つけポップは眉根を寄せる。
それが見逃せない重要な事だと確信にも似た警鐘が鳴り響く。

新しい肉体。
それはどうやって得た?
守護者は新たな生命を作り出す事が出来ない。
それは確かな筈。
ならばどうやってソレを得たというのか。
新しい体。
新しい生命。
新しい器。


「っ!そうか!!」

ばっと顔を上げポップはキルの名を呼ぶ。
これが正しい答えならば。
大切な者達を失う事はない。
そう確信して。

「キル。守護者は新しい命を生み出す事が出来ない?」
「そうだヨ。」
「新たな肉体は新たな器?」
「その通り。」
「・・・・天界に封じられた魂をお前なら解放できる。
それも正しいか?」

もちろんだと答えるキルにポップは満足気に頷き。
そうして勝気に笑った。
その姿は勝利を確信したもので。
ほんの少しだけ訝しげな目線を向けるキルに、ポップははっきりと言い放つ。

「ならこの戦いは俺達の勝ちだ。」









長々とお待たせしました;
そしてただいまです!

やっとの更新。
そしてやっとの踏ん切り。

皆様、ご心配をお掛けして大変申し訳ありません!
お返事が出来なくて申し訳ありませんでした!


そして、何より暖かい応援本当にありがとうございます!
感謝の気持ちでいっぱいです。


もう何を言われてもいいさと、そう思えるようになったのは
あったかい言葉を下さった皆様のお陰です。
本当に、本当に感謝です。

ありがとうございます。

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