カツンと足音が響く。
何も無くなった洞窟。
そこはかつて彼の師であるマトリフが暮らしてた洞窟であった。
何故ここに来たのかと問われれば、何となくとしか答えることが出来ない。
ただ彼の死を知り、絶望を感じたまま足がここに向いただけなのだから。
「・・・なんで誰よりも早く逝くんだよ・・・」
何も無くなった広いだけの空間には、どうして声がこれだけ響くのか。
自分が知っているこの洞窟は、もっと暖かかったのに。
ふらりと覚束ない足取りで奥へと進む。
その場所は、良く彼が瞑想していた場所だった。
『ねぇ。何でポップはいつもあそこで瞑想するの?』
『あぁ?そりゃさ、多分相性がいいからだよ。』
『相性?』
『そ。相性。あそこは火の力が多く流れてるからな。
俺みたいに火炎系が得意な奴には相性が良いんだ。』
『ふ〜〜ん。何か分かんないけど凄いね。』
『分かんないって・・・お前なぁもっと勉強しろよ。』
「・・・あの時はポップ凄く呆れてたね。」
他愛無い話ですら、こんなに簡単に思い出せる。
それほど大切だったのに。
「あの後、お前何て言ったんだっけ?」
『も〜。ポップが分かるように説明しないからだよ。』
『はぁ?!俺の所為かよ?・・・ったく、しかたねぇなぁ。』
そう言って苦笑したあと彼は何と言っていたか。
『おし。じゃあ実践してやる。』
「・・・そうだ、教えてくれたんだっけ。」
彼の瞑想していた部屋だった場所に進み、ダイはそっと壁に触れる。
そこにはもう大分薄くなったけれど彼が彫った紋様があった。
『なんだい?これ。』
『まぁ見てなって。』
そして彼はここに手を付き、
こう言ったはずだ。
『我此処が精霊に祝福されし者・・・』
「我此処が精霊に祝福されし者・・・」
『・・・我が魔力を糧に我が言葉を・・・』
「・・・我が魔力を糧に我が言葉を・・・」
『我が望む者に伝えたし・・・』
「我が望む者に伝えたし・・・」
あの時のポップの言葉が胸に染込み、
それは自然と声になり紡がれる。
「言葉を伝えしはポップ。受け取るは生涯の友ダイ・・・」
ポップが唱え終えた時、
当たりは黄金色の光を称えた。
『わぁ!すごいや!ポップ。』
『これでな、ここにメッセージを残して置けるんだぜ?』
『本当に?!』
『あぁ。お前がちゃんと今の呪文覚えてりゃ
何時でも俺様のありがた〜いお言葉が聴けるってわけよ!』
『え〜、ポップのありがたいお言葉って・・・』
『なんだよ?不満か?』
『なんかさ、女の子の話しばっかりな気がして。』
『あっ!てめぇ!そーゆー事言うかぁ?!』
『あははは!!ごめん!嘘だって!』
「・・・何にも聞こえないよ?ポップ・・・」
ぽたりと水滴が頬を伝う。
「・・・ありがたい言葉を聴かせてくれるって言ったじゃないか・・・」
その水滴は止め処なく溢れ、頬を流れ。
落ちて、手の甲に伝う。
「こんな事なら迎えに行けば良かった・・・
恐がらないで会いに行けばよかった。
誰よりも幸せで居て欲しかったのに!!」
その瞬間、ぽぅっと柔らかい光が現れる。
暖かく柔らかいその光は懐かしい感覚を伴って。
ダイはそれが直ぐにポップの魔力だと気付いた。
「ポップ?ポップなんだね!」
『・・・・ダイ・・・』
「ポップ!!!」
『ダイ・・・聞こえるか?』
「・・・ポップ?」
『ダイ。これをお前が聞いてる時、一体どれくらいの時間が過ぎてるんだろうな?
もう俺の傍に居ない勇者。これは、俺の最後のメッセージだ。』
ダイは涙を堪えながら必死に声に耳を傾ける。
二度と聞く事が出来ないのなら、決して忘れる事のない様に。
胸に焼き付けて置く為に。
『お前が魔界に行ってる事は知ってる。
本当はさ、直ぐに追いかけたかったんだぜ?俺。
・・・だけど、俺の体はもう魔法を使える状態じゃなかった。
はっきり言って魔界なんぞに行ったら多分即死だな。』
からからと笑う声にダイは表情を歪める。
「・・・そんなに簡単に言うなよ。」
『それでも・・・俺はお前に付いていきたかった。
俺の生涯でたった一人の相棒。
今お前は何してる?
困ってないか?
幸せか?』
「・・・・お前がいないのに幸せなはずないじゃないか・・・」
お前が居ないとこんなにも苦しい。
『お前に逢いたいよ。』
「お前に逢いたい・・・・・」
『でも俺の寿命はもう終わるから。
だからな、ダイ。俺は賭ける事にしたんだ。』
何か大切な事が伝えられるのだと本能的に悟り
はっとダイは顔を上げる。
『どうしても俺はお前に逢いたい。
だから眠りに尽いて体を造り変える。
お?そんな事出来るのかって顔してるだろ?
大魔道師様をなめるなよ。
まぁすげぇ禁呪だけどな。
・・・多分、成功する。
だけど、次に俺が目を覚ましたら・・・俺は人じゃない。
輪廻の枠から外れた存在になる。
だからさ、ダイ。
もし本当に俺が必要なら。
人じゃなくなってもいいなら。
俺を起こしてくれ。
そして俺が要らないなら、
どうか・・・そのままに・・・』
「ポップ!!」
段々小さくなる声に思わすダイは声を荒げる。
目に見えて小さくなる魔力の光に手を伸ばす。
「っ!ポップ!」
『じゃあな。俺の勇者。
逢えるの・・・待ってるぜ?』
魔力の珠が消え去り、完全な沈黙と化した場所で
ダイは静かに涙を拭った。
「・・・ポップ・・・」
愛しそうに名前を呼び、微笑む。
「場所教えてくれないんだね、まったくさ・・・お前らしいよ。」
再会した時にそう文句を言えば、彼の事だからきっとこう言うだろう。
俺を置いて行った罰だと。
そして、
分からない方が可笑しいと。
「うん。大丈夫。分かるよ。」
俺達2人がまた逢うのはきっとあの場所が相応しい。
2人の始まりの場所なのだから。
すっと立ち上がりダイは歩き出す。
光の在る方へ。
長い道のりの出口へ。
迎えに行くから。
そうしたらもう放さない。
----長い悪夢が終わりを告げた。
END
2へ
はいはいはい。突然ですがここで始めます。
題して
姫宮の駄目な所当てクイズ!
1・無駄に長い。
2・ダイポプなのにポップが全然出てない。
3・本の名前とか呪文とかセンスがない。
4・そもそも甘くない。
5・リクのくせに趣味丸出し。
はい。答えは簡単ですね。
凄く分かりやすい。
えぇ!全部です・・・orz
こんなの捧げて良いもんでしょうか;
羽織部様・・・あの・・・こんなのでよろしいでしょうか?(おどおど)
マトポプ頂いたお礼などと言うにはヘボい(号泣)ものですが、
良ければ貰って下さい!!
返品可ですので!!!
・・・・ちなみにダイが向かったのはデルムリン島・・・分からなかったらごめん!!(走り逃げ)
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