「…つまんねぇ…」
「しつこい奴だな。仕方ねぇだろうが。」
盛大な溜息を漏らすポップに、飽きれた様にジロリと睨んでやれば。
不貞腐れた様に視線を窓に戻し、ポップはぼそぼそと呟きだす。
「だって…折角外に出たのに。」
「外なんざ何時でも行けるじゃねぇか。」
「…そうじゃなくて…」
わかんないならもういいと、窓から視線を逸らさないまま言う彼に、
やれやれとマトリフは立ち上がる。
後ろから抱きしめてやれば、
ほんの少し体を震わせるくせに自分の方を向くことはしなくて。
やれやれ、相当不貞腐れてる様だとマトリフは苦笑する。
「…おい。何時まで拗ねてんだ?」
「あんたが謝るまで。」
「雨は俺のせいじゃねぇぞ?」
「…そう言う意味じゃねぇよ。」
「分かるように言え。」
耳にそっと口付けて、抱きしめたままの腕に少し力を込めれば
コツンと頭を預ける。
「折角、外に出たのにさ。雨だし。」
「天気は仕方ねぇだろうが。」
「そう言う意味じゃねぇんだってば。
そうじゃなくて…折角師匠と一緒に出かけたのに雨だし。
…修行以外でこんなに遠出したのなんか初めてだから。
色んな所に行けるかなって。
ちょっと期待してたから…」
初めて二人で出かけたのに、雨が降るから。
何処にも行けなくて。
家にいるみたいに、本を読んでるだけで
いつもと変わりがないから。
嬉しかった気分が台無しな気がして。
でも、それを口に出すのは矜持が邪魔して。
止まない雨に八つ当たりしたんだ。
「…ポップ。」
少々強引に自分の方を向かせて、改めて強く抱きしめる。
胸元に顔を摺り寄せるポップの首筋にマトリフは唇を落とした。
「…ちょ…」
何をするんだと文句を言いたそうな顔を、掬い上げ
唇を奪う。
何度も何度も角度を変えて、
差し込んだ舌に応じるまで。
背中に回された手が縋り付く様になるまで。
「…んぅ…っ…」
甘く切なげな吐息漏れるのを聞き、満足気に唇を離しマトリフはポップの耳元で囁く。
「明日出掛けるか。」
「…明日も雨だったら?」
「晴れてる所に行けばいいだろ?」
意味が分からないと首を傾げるポップをこつんと小突き。
「世界中が雨ってわけじゃねぇだろ。」
もし明日も雨ならば、
雨の降ってない所に行けば良いだけだ。
二人ならば行けない所など何処にもないだろと、そう言えば。
嬉しそうにポップは頷く。
「うん。何処でも行けるもんな。」
「まぁな。」
嬉しさを隠さず、抱き着いてくるポップを抱き締め返し呟く。
「まぁ、明日お前が動ければの話だけどな。」
「……はい?」
何か恐ろしい言葉が聞こえたと、聞き返すポップに、
マトリフはにやりと悪戯な笑顔を向けた。
「俺を煽ったお前が悪い。」
翌日出掛ける事が出来たかは二人だけの秘密。
END
…こいつらあま〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!!!
つ〜か、ヤったね?!ヤってる仲なのね?!(最低)
と冗談はここまでにして。
甘く口説いてる師匠が見たいと言うお声が多かったので頑張ってみたのですがどうでしょうか?
甘いですかね?
姫宮には甘甘はこれが精一杯です;
キスシーンですら恥ずかしくて仕方ありません。
誰かエロの神様紹介して下さい(ぇ?)
少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
読んで頂きありがとうございました。
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