「・・・・・・・嘘だろ・・・・・・・?」

突然の出来事にポップはただ呆然と呟いた。
自分の身に何が起きたと言うのかだろうか。
否、起きた事は分かったいるのだけれど、
それが現実だと理解したくないと言うのが本音だった。

「ありえないだろぉ・・・・・」

その場に座り込んで情けない声を上げれば、
間違いなく己の声だと言うのにいつもより僅かに高く。
その突き付けられた事実に、思わず涙が零れそうになる。


一体何が悪かったのだろう。
興味本位で呪文のアレンジを考えたのが悪かったのだろうか。
それともそれを自分で試したのが悪かったのか。


本来ならば自分の肉体内の細胞を活性化させるはずの呪文で、
間違いなく成功する筈だったのに何でこうなったかなと、
ポップは唱えた呪文を思い出し、それを再構築させながら深々と溜息を尽いた。

唱えるのにですら膨大な魔法力を消費したその呪文を、
今もう一度唱える事は出来ない。
暫く時間を置いて魔力を回復しなければ。

完全に回復するには最低でも一日は掛かるなと呟いて、
ポップは嫌そうに顔を顰めた。
元に戻るまで一日掛かると言うことは。
即ち彼にこの姿を見せると言う事。

「・・・・・・・呆れられるか、笑われるか。だよなぁ。」

どっちがマシなんだろうと真剣に悩みながら、
ポップは仕方なしに立ち上がる。
どちらにしても、このまま部屋に篭ってる訳にもいかないのだ。

彼にあった時の反応を想像し、ちょっぴり涙目になりながらポップは部屋の扉を開けた。





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